物を減らしてすっきりとした生活を送りたい、という人が増えています。最近では「断捨離」や「ミニマリスト」などという言葉が流行しました。ところが最近では物だけではなく、収納場所である建物自体のスペースを減らす、「減築」にも注目が集まっているのです。
全面改装はせずに、住居の床面積を減らす減築を選ぶという選択は、今の時代が求めるリフォームの形なのかもしれません。実際、子供の独立などを機にマイホームの減築をして、すっきりとした暮らしを選ぶ人が増えてきているといいます。リフォームと同時に耐震工事やバリアフリー化を施せば、いざ年をとって足腰が弱ってきたとしても、我が家で安心な暮らしが送れることでしょう。
それでは、減築にかかる費用は実際どのくらいかかるものなのでしょうか。できることなら、費用を最大限抑えたいものです。今回は、減築にかかる費用についてまとめてみました。減築に興味がある方は、ぜひご参考になさってみてください。
目次
減築の費用あれこれと、助成金のこと
減築をするにあたって、やはり気になるのは費用のことです。減築を行うにあたって、解体費用だけではなく、さまざまな費用がかかってきます。また減築では助成金も使えますので、ぜひ費用を抑えて、賢くリフォームをしましょう。
減築の範囲によっては仮住まいする家賃が必要
減築をするとなると、全面的に改装が必要となるケースが多く、そのため我が家に住みながら工事を行うということがなかなかできません。そのため、どこか近くの場所に部屋を借りて、仮住まいをする必要が出てきます。そのための引越し費用や初期費用、家賃を払わなければなりません。中には、リフォームをする人のために仮住まいまで提供する業者もあります。
解体費用と、工事で出たものを処分する費用もかかる
減築リフォームをすると、建物の解体のための費用と、工事で出たものを処分する費用もかかります。建物の解体をすると、必ず産業廃棄物が出ます。これを処分するにも費用がかかってしまうのです。
廃棄物の主なものに、木くずや外壁材類やガラスなどがあります。建設リサイクル法の施行により、リサイクルに多くの廃棄物が使われるので、廃棄物を分類しながら解体せねばなりません。これは法にて基づいた方法にて廃棄物を処分すべきと決められています。そのため、分類などに手間がかかるので、どうしても費用高くなってしまいます。
また、古い住宅ではアスベストなどが使用されていることがあり、決められた方法にて処分しないといけないのでさらに高額な費用がかかることも。
減築の費用には、耐震補助金を受けられる場合がある
減築する際に、耐震性が向上することが分かれば、耐震改修工事と認められて耐震補助金の対象になります。2階建てを平屋にしたり、平屋の一部を減築したりしたときは耐震補助金の対象になる可能性が高くなります。事前に業者に耐震診断をしてもらい、補助金をもらって賢くリフォームをしましょう。
減築リフォーム事例と、工事ごとの費用相場

減築のためのリフォームは、その場所などによって、ケースごとに費用は大幅に変わります。実際減築を行うという場合は、どのようなケースがあるのか、見ていきましょう。
数百万で可能な減築リフォーム事例
2部屋をつなげて広い1部屋にするのも、立派な減築リフォームです。2階の1部屋分を吹き抜けや坪庭にするリフォームも、解体費用の負担が低くなりおすすめです。これらの減築リフォームは、数百万円で可能となります。
平屋や1~2階の一部を減築するなら、数百万~1000万円以上が目安
平屋建ての一部を減築するには、建物の解体費や壁補修費用がかかります。そのため、費用は、数百万~1000万円以上が目安となります。
2階の一部を減築、2階建てを平屋にするなら、1000万円以下になる場合も…
子供が独立した際に、子供部屋が不要となった場合、2階建てを平屋に減築をすることがあります。また居住者が高齢となり、足腰が弱って階段が上り下りしにくく、平屋にしたいというケースもあるでしょう。そのような場合、解体費や壁補修費、屋根補修費込みで、1000万円以下になることもあります。
費用をかけて減築するメリットは?減築工事やリフォームのうれしい効果
減築するメリットは、何と言っても管理のしやすさでしょう。誰も使っていないような2階まで行って、いちいち掃除をするのは手間なものです。
毎日の掃除場所が減ることで、体力的な負担も減り、生活がしやすくなることでしょう。足腰が弱ってくる将来的なことを考えても、住居の管理のしやすさはとても重要なことといえます。また外壁の塗り替えなどのメンテナンス部分が減ることで、費用を抑えることができます。ただしリフォームの工期中は、どこか別の住まいを借りて暮らさなければなりません。そのため、引っ越し費用と賃貸の家賃がかかってしまうことは心得ておきましょう。
維持費が下がり、固定資産税も安くなるケースがある
固定資産税とは、土地や建物の所有者が市町村に払う税金です。床面積により固定資産税の評価額が決定されますので、住宅の床面積が減れば当然、固定資産税の節税にもつながります。
建物の重量が減って耐震性が向上することが多い
地震が来た際の揺れは、建物の重さに比例すると言われています。つまり建物が重ければ重いほど、揺れが強くなるということになります。2階部分を減築するなら、建物の重量が減るため、耐震性は高まります。減築リフォームでは、耐震構造も確認してから行うため、現在の耐震基準に合わせた耐震工事はもちろんのこと、間取りを見直して家具などの設置なども変えることで雰囲気も変えることができ、シンプルな生活ができるでしょう。
無駄な空間が減ることで暮らしが快適・安全になる
子供が独立して、子供部屋が空いてしまった場合など、使っていない部屋の掃除は手間なものです。また、部屋数が多いほどエアコンも行き届きにくくなり、電気代もかさんでしまいます。減築リフォームをすることで無駄なスペースが減るので、掃除や空調管理がしやすくなります。また余計なスペースを作らないことで、空き巣被害を防ぐことにもつながることでしょう。このように、減築をすることで防犯対策にもなるのです。
減築で費用のこと以外に注意したいこと

減築リフォームをするにあたり、費用以外にも気をつけたいことがあります。費用以外の面で、注意しておくべきことをご紹介していきます。
バリアフリー化など、今後の利便性と安全性をふまえて計画しよう
居住者がご高齢となれば、当然ながら足腰もよわってくるものです。高齢になっても、我が家で生活を快適に送るためには、手すりをつけたり、段差をなくしたりなど、バリアフリー化を施すことが重要です。今後の生活における利便性と安全性を考えて、将来を見据えたリフォームをしましょう。
減築後の耐震設計を念入りに確認したい
基本的に減築リフォーム工事のみの場合は、建築確認申請をしなくてもよいとされています。しかし、減築と同時に増築工事を行った場合や、2階を減築し屋根を新しく作ったというような大規模な修繕にあたる場合は、確認申請が必要となります。
納得できるリフォームは業者選びにかかっている
減築のリフォームは、決して安い買い物ではありません。リフォームというものは、一生に何回もするわけではありません。けれどもせっかくリフォームするのですから、きちんとした業者を選び、納得がいくリフォームをしたいものです。
リフォームを依頼するときは、減築の実績があり、担当者が親身になってくれるような業者を選ぶことがポイントです。そして必ず複数の業者から見積りを取ってもらい、比較検討してから依頼しましょう。
まとめ
今回は減築の費用について、ご紹介してきました。人口減少が進む社会において、人が住む場所がそれほど要らなくなるというのは、世の流れです。そして人は必ず年を取るとともに足腰も弱くなるものですから、耐震性やバリアフリーの対策も欠かせません。
減築と同時に耐震性も増し、バリアフリーもできるようなリフォームが、理想と言えるでしょう。物を減らして生きる人が増えていることでも分かるように、これからはきっと減築という方法で、住まいの形をすっきりとしたものに変える方が増えていくことでしょう。