お持ちのマンションは築何年ですか?70年代以前に建築されたマンションをお持ちでしたら、そろそろ建て替えを考える時期かもしれません。建物を建てるには耐震基準を満たす必要があります。耐震基準を満たさない古くなったマンションには、住むのは不安になってしまうでしょう。
しかし、マンションの解体には多額の費用がかかるものです。マンションの解体費用にはどのくらいのお金がかかるものなのでしょうか。マンションを所有されていて解体をお考えの方は、ぜひご参考になさってみてください。
目次
マンションを解体費用はどのくらい?相場について解説します
鉄筋コンクリートなどのマンションを解体するには、高額な費用がかかります。一体マンションの解体費用はどのくらいかかるものなのでしょうか。
そもそも誰が負担をするの?
賃貸の場合は大家さんが負担するのですが、分譲マンションを建て替えるときは、持ち家という扱いになりますので、費用は住んでいる人が負担することになります。そのため、マンションの解体には、多くの住民の同意がないとできません。
マンション解体の目安は?
マンションは建物としての寿命は30~40年ほどです。そもそも耐震基準を満たしていないと危険とみなされ、建て替えを行う必要が出てきます。1981年に新耐震基準が設定されました。それ以前の耐震基準で建てられた住宅は、マンションの寿命としては耐震性に劣ります。
また建てた年から年月が経つと、雨風などにさらされてマンションは老朽化してきます。経年劣化による老朽化したマンションは、1981年以降の新耐震基準でマンションを建て直すことが必要になります。
マンションの築年数が経っても住めるのですが、古いマンションはどうしても市場価値が下がってしまいます。新しく立て替えてマンションの市場価値を上げて、家賃収入を増やすことで収入増を見込めます。このように経済的な理由で、建て替えをすることもあります。
解体の相場はいくら?
解体の相場は、一戸あたりにつきおよそ数千万円です。これとは別に、建て替えをしている間、住民が仮住まいの賃貸住宅に住むための費用と、建て替えた後の新しい分譲住宅への戻るための引越し費用がかかります。マンションを建て替えるには、居住する住民の一定数の同意を得なければなりません。自己負担が数千万円をこえるようですと反対する人も増え、建て替えが困難になることが多くなります。
解体方法も時代とともに変化!どんな方法で解体されていく?

時代が進むにつれて技術も進化を遂げており、一言で解体といってもさまざまな解体方法があります。また解体をするには重機を用いて道路をふさぐこともあるので、行政に届出をすることが決められています。
解体するには届け出が必要
マンションを解体する際には、「特定建設作業届」を行政に届けなければなりません。80平方メートルを超えるような大きな建物を解体する前後は、「解体工事の届出」と「建物滅失の届出」をそれぞれ行政に提出することになります。
重機などを道路に停めたり、通ったりするときには「道路使用許可の届出」も合わせて提出する必要も出てきます。このような届出は、解体業者が代理で行政に届け出てくれますが、その分の書類作成の費用の料金が請求されます。
解体するときのポイントを抑えよう
ビルを解体するとなれば、騒音や粉じんによる環境の悪化が、近隣の住民にとっては迷惑になることがあります。解体工事が始まる前に、近所の住民に説明を行うなど、適切な対応を事前にとることで、後々のクレームを回避できるでしょう。
解体業者が現地調査をするときは、立ち会った方が安心です。業者まかせにするのではなく、ご自分の目で現場を見ることで、実際はどうなっているのかしっかり確認できます。業者とコミュニケーションを取りながら進めることで、実際に解体工事が始まってから何か問題が起こることを、未然に防ぐことができるでしょう。
解体するにはどんな工法があるの?
解体工事にもさまざまな解体方法があります。建物の状態や費用に合った解体法を選ぶ必要があります。
・階上解体
この解体工法は、地上にスペースがなく、重機を設置できないときに使われます。大型クレーンで重機を階上に引き上げ、階上から階下へ上から順に解体をしていくものです。
・超ロング解体機を使った地上解体
超大型の重機により、地上から圧砕を行います。重機のアーム部分にカメラが取り付けられており、圧砕作業をきちんと確認しながら作業をします。この工法で使われる重機は、「超ロング解体機」または「超ロングブーム」とも呼ばれています。
・ブロック解体
この工法は、最上階に重機を設置して、上から下へ順にブロック単位で切断をする解体方法です。建物すべてに足場を組む場合もありますが、施工する階とその上下の階のみに足場を組む場合もあります。
・上部閉鎖式解体
「上部閉鎖式解体法」では最上階に、移動可能な解体設備を設置します。重機を使ってマンションの内側から下におろすことで、騒音などを抑えることができます。
・だるま落とし式解体
今まで見てきた工法とは逆に、1階から順に上へ上へと、柱を切断していきます。下の階から建物が低くなっていくため、その様子がだるま落としのように見えることから、「だるま落とし式解体」と呼ばれています。
解体工事の前に…。注意するべきアスベスト問題
アスベストは人体に健康被害を及ぼすとして、2006年に使用が禁止されました。アスベストは別名「石綿(せきめん)」といい、耐火性や耐熱性、防音性などに優れた鉱物です。費用も安く済むため、昭和中頃から昭和末期にかけて、建築物に多く用いられてきました。
しかしその後の検査などで、アスベストの粉を吸い込むことで肺にアスベストが溜まり、呼吸困難や肺がんなど重篤な疾患を引き起こすことが判明しました。アスベストはとても小さいため、空中に舞っていても人間が気付きません。また、初めに吸い込んでから15~40年ほどの年月を経てから発症するといわれており、原因が判明しにくいという危険性があります。
アスベストはこのように人体に健康被害をもたらすので、今ではアスベストが使用されている建築物の解体や改修作業を行う時には、行政に届出をしなければなりません。
解体費用を安く抑えるコツをご紹介

鉄筋コンクリートやSRC(鉄筋の骨組みをさらに鉄筋で補強した建築方法。鉄筋コンクリートより耐震性が高い)で作られたマンションは、木造建築に比べて見積りが高くなりがちです。しかし、できることなら最大限費用を抑えたいところです。そこで、マンションの解体費用を抑えるコツをご紹介します。
まず、建築業界全体が忙しくなる12月や年末は価格が高騰するため、避けた方がよいでしょう。そして、解体業者に見積りを取ってもらう前に、建物を建てたときの建築会社に問い合わせて、図面を探してもらいましょう。図面が分かれば、どこにどのような工事をしているのかが明確になります。
また、解体業者は複数の業者を選んで、見積りを取ってもらいましょう。解体業者によっては、どのような重機を所有しているかどうかにより、解体工法も変わってきます。解体経験や技術によっても、人件費なども影響が出てきます。解体業者に見積りを依頼するには、現地調査に立ち会いましょう。現地調査に立ち会うことで、より正確な現地調査が可能になります。
以上のようなポイントを抑えることで、ぐっとマンション解体の費用を抑えることにつながります。
まとめ
マンション解体をする前には、図面を確認したり、現地調査に立ち会ったりするなどして、事前にどのような工事を行うのかきちんと把握しておくことが肝心です。
事前に準備をしておくことで、後々のトラブルを回避することにつながります。今回見てきたようなポイントを押さえて、ぜひマンション解体の際には活かしていただければ、幸いです。