家を解体した後に発生する建築廃材について、あなたは考えたことがあるでしょうか?
解体は、建物を解体して作業がおわりというわけではなく、建物から発生した廃材の処理までしっかりとおこなうのが義務となっています。
建物の規模によって建築廃材の量は異なってきますが、そのまま処分するのはもったいないので、リサイクルしてほしいと思う人は多いと思います。中には、「大切な家の建築廃材を自らリサイクルして何らかの形で再利用したい!」という考えをお持ちの人もいるかもしれません。
今回の記事では、建築廃材の基本的な知識と、最終的に建築廃材がどのようなものにリサイクルされるのかについて紹介します。あわせて、リサイクルを業者に頼むもしくは自分でおこなう場合のメリット・デメリットにもふれたいと思います。
ここでさまざまな建築廃材の知識を得たうえで、じっくり解体を検討してみてください。ひとつでも役立つことがあるかもしれません。
建築廃材ってなに?基本的な知識
まずは、建築廃材の知っておくべき知識について紹介します。また、「建設リサイクル法」などの建設業界ではよく知られた法律についても解説していきます。
解体工事の際に発生する建築廃材
建築廃材とは、解体工事をしたときに発生する不要になった廃材のことです。正確には「廃棄物」と呼ばれ、これは「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に大きく分類することができます。
・産業廃棄物
オフィス、建設業、商業活動や学校などの公的事業をおこなう上で生じた廃棄物のことです。産業廃棄物は各都道府県によっても変わりますが、およそ20もの種類に分類されています。
・一般廃棄物
廃棄物法で指定された産業廃棄物以外のものを一般廃棄物と呼びます。飲食店の残飯や小売店から発生する食べ物のくずなどは「事業系廃棄物」に、家庭で排出される残飯や紙くずなどは「家庭廃棄物」と呼ばれます。
「建設リサイクル法」とは?
解体工事の際に発生する廃棄物は、建物の種類によって幅広い範囲のものがあります。
その建物の中でも、たとえば「石膏ボード」「ガラス」「ブラスチック類」・・・など、解体をおこなう際はそれぞれ分別しながら解体をおこなうという義務があります。
これを、「建設リサイクル法」といいます。
以前はこのような分別をせず、廃材のすべてを一緒くたにしていました。現在はそれぞれの廃材を適切に処理し、リサイクルをおこなうために分別解体が欠かせない作業となっています。
現在はリサイクルが義務付けられている
以前は解体された廃材はすべてゴミとして廃棄されていましたが、人々の環境に対する意識が向上するにつれリサイクルへの意識も高まり、現在では再資源化が義務付けられています。
リサイクルされたらどうなるの?

建築廃材にはさまざまな種類があり、きちんと分別して解体をおこなう必要があるということがわかりました。続いては、建築廃材がリサイクルされたら一体どうなるのかを廃材の種類ごとに説明していきます。
■木くず・鉄くず
かなり以前よりリサイクル化が進んでいるのが「木くず」と「鉄くず」です。
木くずは木質燃料として再利用されるのが大半で、鉄くずは鉄製品として再利用されています。
■コンクリート塊
コンクリートのかたまりは、そのほぼ100%が「再生砕石」というリサイクル材になります。
これらが細かく破砕されたものを「RC」と総称し、構造物の基盤材料などとして幅広く活躍しています。
■石膏ボード類
石膏ボードは、細かく砕かれても再形成することが可能なので、また同じ石膏ボードとしてリサイクルされます。
ほかに、地盤を強くするための地盤改良材としても利用されています。
■プラスチック類
プラスチックを原料としている製品にはプラスチックの成形品やシート類、衣料品などさまざまなものがあるため、再生需要が高いというのが特徴です。
製紙工場やパルプ工場などでも燃料として利用されています。
■紙類
紙はリサイクル後も同じく紙になります。
トイレットペーパーはリサイクルされた紙を原料としているものが多いです。
■その他
そのほかに、建築廃材として発生するもののひとつにガラスがありますが、ガラスがリサイクルされるのはほんの一部のようです。ガラスは一度細かく粉砕し溶かしてから瓶などのガラス製品となったりします。
発泡スチロールは、再度発砲スチロールに生まれ変わります。これもガラスと同じで一度溶かしてから形成するという手順でリサイクルされます。
建築廃材のリサイクルは業者に任せたほうがメリットが多い

建築廃材もまた新しいかたちに変化して生まれ変わるということを紹介してきましたが、実際にリサイクルされるまでの流れとは一体どういったものなのでしょうか?以下で詳しく紹介します。
建築廃材がリサイクルされるまで
建築廃材は、解体を終えたあとに業者によって適切な方法で処理され、そのほとんどがリサイクルされます。
一般的に解体を依頼するのと同時に処理も依頼するというパターンが多く、それは同時にリサイクルもおこなわれているということになります。また、解体業者が廃材を処理するために処理場に持ち込んだりするのにも業者側に費用がかかるので、依頼者側は解体費用とは別に処理費用を支払う必要があります。業者にもよりますが、廃材の量が多かったり処理場と距離があったりすると、金額は大きくなっていきます。
中には、建物を解体後、その素材を自らなんらかのかたちで再利用したり、建物の一部を新しい住居となる家の柱などに利用したいといった思いをもつ人もいます。
建築廃材をどんな形で残すにせよ、廃材についての知識があるプロの業者とよく相談してみる必要があります。
建築廃材の処理を自らおこなうのは大変
廃材には、それぞれに適した処理方法があるため、専門知識を身に着けた業者でないと正しい処理をおこなうのは困難です。また、自分がそういった専門知識をもっていたとしても、処理するのに必要な機械を手にしたりするなど、コストが高くなるのは避けられません。アスベストなどの不純物を適切に対処する必要も出てきます。
しかし、処理費用を抑えたいがために、周囲への迷惑を考えず不法投棄や不法な野焼きをおこなう人々が存在します。
正しい処理をしないと、廃材によっては有害物質が発生する恐れがあるため大変危険です。そのせいできれいな環境を汚してしまうことにもなります。
廃材の処理は業者に依頼するのが賢明と言えるでしょう。
業者に任せた方がよい理由
前述のように、自ら廃材の処理をおこなうと危険が伴うためというのはもちろんですが、業者に任せることで面倒な処理の手間が省けるうえに、その後リサイクルしてくれるので環境にやさしいというのもうれしいポイントです。
また、処理を一から自分でおこなうよりは業者に任せた方がコストダウンにつながります。
解体を依頼する際は、処理まで安心して任せられるような信頼できる業者を探してみてほしいと思います。
まとめ
建築廃材をリサイクルするには適切な処理の実施が不可欠で、それをおこなうのは専門知識をもった業者でないと難しいということがわかりました。
そのため、リサイクルは業者に任せてしまうのがベストなやり方と言えます。
しかし、建築廃材をなんらかのかたちで残しておきたいという方は、その旨を業者に相談することが大切です。信頼できる業者であれば、建築廃材を残して再利用できるよう、解体や処理の方法を一緒になって考えてくれるでしょう。