「固定資産税」は、大きく分けて土地にかかるものと建物にかかる2つに分けられます。「土地にかかる固定資産税」は何で評価されるのか、更地にすると「建物の固定資産税」が増えるのは本当なのかなど、固定資産税にまつわるお話を分かりやすくご紹介します。
「解体したいけど固定資産税が増えるのは嫌だ…」と解体を検討している方は「固定資産税の算出方法」を知り、「更地の節税方法」を参考にしてみてください。そうでない方も、これを読んで正しい固定資産税の知識を身に着けましょう。
土地にかかる固定資産税
固定資産税とは、大まかに言えば、建物や土地、償却資産などの「固定資産」の所有者に課される市町村税のことです。土地や家屋の所有者に納税の義務があります。マンションやアパートを賃貸している場合は、固定資産税の対象者にはなりません。家主のみが固定資産税を支払うことになります。
土地の固定資産評価額は、地目よっても変わってきます。地目とは、宅地、畑、田、公園、山林、学校用地など23種類に分けられた土地の種類のことです。固定資産評価による評価額は地目によって大きく異なってきます。例え同じ広さの土地でも、宅地と学校用地では金額に差が出てくるということです。
さらに、土地の時価は変動するため、評価額は3年に1度、見直されます。しかし最終的に固定資産税評価額を決定するのは市町村長などであるため、地域によってばらつきがあります。
更地にすると建物の固定資産税が増える?

結論から言えば、更地にすると建物の固定資産税は増えてしまいます。
なぜかというと、家屋が立っている土地の場合、「土地にかかる固定資産税の負担が軽減」される特例が存在するからです。しかし土地を更地にすると、つまり建物がなくなってしまうと、「住宅用地にかかる固定資産税特例措置」という特例は受けられなくなってしまいます。その結果、固定資産税が増えてしまうのです。
しかし、厳密にいうと固定資産税が増えたわけではありません。今まで受けていた特例が受けられなくなることで通常の割合に戻ってしまい、納める固定資産税の総額が高くなってしまうため、固定資産税が増えたように感じられてしまうのです。
固定資産税の算出方法
では、固定資産税を算出する方法を式に表して整理してみましょう。
上記のとおり、宅地内に住宅が立っている場合は固定資産税の負担が軽減されるという「住宅用地の課税標準の特例」という法律が存在しました。この特例は、住宅の敷地が200平方メートルを超えるかどうかで基準を設け、課税標準を定めています。(なお、200平方メートルの場合を小規模住宅用地、その面積を超える場合を一般住宅用地と呼びます。)
「住宅用地の敷地標準の特例」とは、具体的には、小規模住宅用地の課税標準1/6、一般住宅用地の課税標準を1/3にする制度です。
●住宅用地で200平方メートル以下の場合(小規模住宅用地)
ⅰ)建物があるとき(軽減措置)
固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1/6 × 1.4%
ⅱ)建物がないとき
固定資産税 = 固定資産税評価額 × 7/10 × 1.4%
●住宅用地で200平方メートルを超える部分の場合(一般住宅用地)
ⅰ)建物があるとき(軽減措置)
固定資産税 = 固定資産税評価額 × 1/3 × 1.4%
ⅱ)建物がないとき
固定資産税 = 固定資産税評価額 × 7/10 × 1.4%
以上の算出方法になります。
ただし、建物を解体した場合は、建物の固定資産税は0になるため、トータルで考えれば今までの額よりも安くなる可能もあります。
「固定資産税が高くなるかもしれないから、解体に踏み込めない…」という方は一度計算してみるのもひとつでしょう。
更地の節税方法

解体後、更地の節税をするにはどうすればよいのでしょうか。
まずは、役所にて固定資産課税台帳の確認をしましょう。もしも土地が相続して譲り受けたものであった場合、記載された内容が古ければ、現況と大きく違っている可能性が考えられるからです。例えば、登記簿に記載されている地積と一致していなかったり、評価額が違っていたり、地目が変わっていたり…などなど、登記ミスが無いかどうかを確認することが大事です。
登記簿に間違いがあり、無駄に支払っている税金があると判明したら役所に相談するとよいでしょう。過去5年以内の税金であれば還付を受けることができます。
●駐車場、コインパーキングとして活用
更地にした土地を再利用する方法です。駐車場にすることで土地の地目が「雑種地」に変更され、固定資産税を安くすることにつながります。なお、駐車場やコインパーキングに限らず、資材置き場、運動用地などに活用しても地目は「雑種地」となるため、固定資産税の評価額を変えることができます。
●農地として転用
「農地」の土地は固定資産税がとても安く、今まで万単位で支払っていた固定資産税が百円単位になるといったケースもあるようです。ただし、「農地」に地目を変更したとしても、その後放置してしまうと地目を変更されてしまうため、転用後はしっかりと農地として管理、運用しなくてはなりません。土地にとっては法律によって農地に転用できない場合もあるため、注意しましょう。
まとめ
固定資産税の費用と計算方法についてよく理解していただけたでしょうか。実は固定資産税についてはよく知らなかったという方もいらっしゃると思います。固定資産税は、23種類に分けられた地目によって評価され、「固定資産税評価額×課税標準×1.4%」を基本に、住宅用地の敷地が200平方メートルを超えるかどうか、建物があるかないかで大まかな金額を算出できます。
更地にしたからといって必ずしも安くなるわけではありませんが、更地を上手く活用すれば収入を得ることもできるでしょう。これを機に、解体に踏み切ってみてはいかがでしょうか。